【魂のルーツ】
子供の頃、何かに夢中になると、周りの音が消えていませんでしたか。
呼ばれても気づかない。ご飯だよと言われても、もう少し、と手を止めない。
一つのことに入り込むと、時間の感覚がどこかへ行ってしまう。そういう子だったのではないでしょうか。
それは飽きっぽさの裏返しではありません。むしろ逆です。
向かう先がはっきり決まったとき、あなたはとことんまで行く。中途半端なところで切り上げるのが、どうにも落ち着かない。
やるなら、自分が納得のいくところまで。そう体のほうが先に動いてしまう。
ものを並べたり、そろえたりするのも好きだったかもしれません。順番がずれていると気になる。
少し曲がっていると、つい直したくなる。誰に頼まれたわけでもないのに、です。
外から見ると、あなたはおっとりして見えます。当たりがやわらかく、声を荒らげない。
けれど内側では、いつも何かを静かに見ています。人の表情、場の空気、言葉の裏側。
穏やかな目をしながら、奥のほうは鋭い。その観察のまなざしは、ずっと前からあなたのものでした。
この静けさと集中が一つに重なると、あなたは突き抜けていきます。人が飽きてしまうところから、さらにその先まで打ち込める。
湖の奥でひとり刃を研ぎ澄ます研磨師のように、誰も見ていなくても手を動かし続けられる。邪魔な雑念が入りにくいぶん、入り込んだときの深さが違う。
そこにあるのは、生まれ持った一つの質です。能力という言葉よりも、もっと体に近いところにある癖のようなもの。
だから本人は、特別なことをしている自覚があまりないかもしれません。
ただ、ひとつだけ書いておきます。