【魂のルーツ】
子供の頃のことを、少しだけ思い出してみてください。
遊びの最中でも、次に何が起きるかを頭の片隅で組み立てていた。
みんながわけもなくはしゃいでいる輪の中で、ひとりだけ段取りを考えていた。
そんな子どもではなかったでしょうか。
先を読む力は、誰かに教わって身につけたものではありません。
生まれたときから、あなたの内側に静かにそなわっていた性質です。
あなたは細かいことに、よく気がつきました。
机の上の並びがわずかに狂っているだけで、なんとなく落ち着かない。
約束の時間より早めに着いていないと、そわそわしてしまう。
一度「こう」と決めたら、寄り道せずにその筋を最後まで運んでいく。
理屈っぽいと言われたこともあったかもしれません。
けれど、その筋の通し方を、周りの人たちはむしろ好ましく感じていたはずです。
ここで、月の光をたっぷり浴びて、天へ向かってまっすぐ枝を伸ばしていく木をイメージしてください。木は、何も語ることなく、 ただ、上へ、上へと伸びていく。
あなたの努力の仕方も、これによく似ています。
声を張り上げて主張するのではなく、決めた方角に向かって、こつこつと自分を積み上げていく。誰も見ていなくても、です。
目的さえ定まれば、そこへたどり着くまでの道のりを自分で配分し、時間を割り振りながら進んでいける。
この粘り強さは、長い冬を越えてなお立ちつづける月夜の白銀の巨木、まさにあの静けさにつながっています。
まわりの目には、ずいぶん落ち着いた人と映っていたのではないでしょうか。
慌てない。
取り乱さない。
いつも一定の温度で、物事に向き合っている。
古風なほどの真面目さと、芯の通った理知。
それは確かに、あなたを形づくってきた一部です。
素直に物事を受け止める質も、子どもの頃からほとんど変わっていないはずです。
けれど、ここからは、あなたがそっと胸にしまってきたものに、触れていきます。