【魂のルーツ】
子どもの頃のあなたは、まわりから見るとおとなしい子だったかもしれません。声を荒げるでもなく、わがままで場を乱すでもなく、いつも落ち着いた表情でそこにいた。
大人たちはきっと「手のかからない子」と言っていたのではないでしょうか。
けれど、内側はちがっていましたよね。これと決めたことは、誰に何を言われても譲らなかった。
表向きはうなずいて、それでも心の中ではまったく動いていない。そういう子どもでした。
たとえば、おもちゃの片づけ方や、絵を描くときの色の順番。大人から見ればどうでもいいような小さなことでも、自分の中の決まりだけは崩さなかった。
叱られても、泣いて折れることはなかったと思います。穏やかに見えて、芯のところは岩のように動かない。
それがこの魂のいちばん古い手ざわりです。
古代の知恵を秘めた大地の絶対王者と呼ばれるこの性質は、はじめから内に大きなものを抱えていました。地面の下に何があるかは、表面を見ているだけではわかりません。
あなたもそういう子でした。にぎやかに自分を見せることはしないのに、いざというときの落ち着きと度量だけは、まわりの子と明らかにちがっていた。
友だちが言い合いをしているとき、あなたは少し離れたところから全体を見ていたのではないでしょうか。誰の味方をするでもなく、けれど不思議とその場が荒れすぎないように収まる。
先生に頼られたり、年下の子がそばに寄ってきたり。求めたわけでもないのに、人があなたを真ん中に置こうとする。
そういう場面が、何度かあったと思います。
地味で、まじめで、温厚。そんなふうに評されることが多かったかもしれません。
それは間違いではないのですが、その言葉だけではこぼれ落ちるものがあります。あなたの落ち着きは、何も感じていないからではなく、感じたものを表に出さずに抱えていられる強さからきています。
静けさの下に、譲らない意志と、まだ形になっていない大きさが眠っていた。
ただ、こうも思うのです。