【魂のルーツ】
子供のころから、あなたは自分のスピードで生きてきたのではないでしょうか。周りがどれだけ慌てても、せかされても、あなたのリズムは崩れない。
「早くしなさい」と言われても、内側では少しも焦っていない。かといって、意地になって我を張っているわけでもない。
ただ自分の流れがあって、それが何があっても変わらないだけ。傍から見ると、ずいぶん落ち着いた子に見えたはずです。
冬の海を思い浮かべてみてください。岸辺の小さな池は寒さで凍りつき、細い小川はせき止められれば流れを止めてしまう。
けれど海は凍りません。季節がどう移ろうと、深いところは静かに、同じ姿のまま在り続ける。
あなたの芯にも、そういう変わらなさが横たわっています。思い当たることが、いくつもあるのではないでしょうか。
みんなが同じ遊びに夢中になっていても、あなたはどこか一歩引いて眺めていた。流行に乗ることもあったけれど、乗るかどうかは結局、自分で決めていた。
叱られても、はいはいと聞いて、それで終わり。次の日にはケロッとして、また自分のやりたいようにやっている。
引きずらない。根に持たない。
そういうおおらかさが、小さいころからあなたには備わっていました。不思議なのは、これだけ自分を通しているのに、あまり角が立たないこと。
わがままだと責められるかというと、そうでもない。むしろ「あの子は、ああいう子だから」と、まわりが自然に受け入れていく。
我を張っている自覚さえ、あなたにはなかったかもしれません。なぜなら、張っていたのではなく、ただ自分のままでいただけだから。
人から何か言われても、あなたの中をすうっと通り抜けていきます。きつい言葉も、ありがたい忠告も、いったんは受け取るのに、深いところまでは届かない。
波が立っても、海の底までは荒れないのと同じ。だからあなたは、人の評価に振り回されずに済んできた。
誰に何を言われても、自分の輪郭がぼやけることがなかったのです。それは、頑固とは少し違います。
頑固な人は、変わることを恐れて身を固くする。あなたは恐れていない。
ただ、変わる必要を感じないだけ。自分という流れに、もともと迷いがないのですよね。
この「揺るがなさ」は、あなたがこれまで何度も助けられてきたものだと思います。まわりが浮き足立つ場面ほど、あなたはいつもの速さを崩さない。
慌てる人の隣で、ひとり静かに自分のことをしている。その姿に、知らず知らず安心させられた人も、きっといたはずです。
子供のあなたが、誰に教わったわけでもなく持っていた、変わらない芯。それが、あなたという人のいちばん深いところを流れている、魂のルーツなのだと思います。
けれど、この揺るがなさには、あなたにしか見えていない裏側があります。
ここからは、あなたがそっと胸にしまってきたものに、触れていきます。