【魂のルーツ】
子供のころ、まわりの子が我先にと駆け出すなかで、あなたは少し後ろから歩く子ではなかったでしょうか。慌てない。
急かされても、自分の速さを崩さない。それは怠けではなく、流れに逆らわずに進むほうが心地よかったからです。
物を取り合う場面でも、声を荒らげずにそっと譲る。けれど内側では、譲ってもいいと自分で決めている。
押し負けたのではなく、選んで引いている。そういう静かな主導権の握り方を、小さなころから身につけていた人です。
おっとりして見える。けれど鈍いわけではありません。
むしろ周りをよく見ていて、誰が困っているか、場がどちらに傾きかけているかを、言葉にしないまま分かっている。落ち着いた目をした子だと、大人に言われた覚えはないでしょうか。
争いごとを好まず、波風の立たない場所を選んで歩く。その穏やかさは、あなたの地肌のようなものです。
ただ、表面の穏やかさだけで見くびられると、内側でこらえていた強さが、ふっと目を覚ます。普段は出さないだけで、芯はずっとそこにありました。
大人になってからも、その性質は形を変えずに続いていますよね。早足の人に追い抜かれても、焦って真似はしない。
自分の歩幅で、目の前のことを一つずつ片づけていく。遅れて見えても、気づけばちゃんと積み上がっている。
それがあなたのやり方です。
机に向かえば、散らかったものを黙って分けて並べ直していたのではないでしょうか。理屈の通らないことには、表立って逆らわなくても、内心で静かに首をかしげている。
その落ち着いた目配りは、いまも変わらず働いています。