【魂のルーツ】
子供の頃のあなたは、たぶん覚えるのが早い子でした。一度見ただけで真似ができてしまう。
誰かが手こずっていることを、横からひょいと片づけてしまう。そういう場面が、思い当たりませんか。
縄跳びでも、絵でも、係の仕事でも、やらせてみると一通り形になる。だから周りからいろんなことを頼まれて、たいていは応えてしまった。
器用というより、手が勝手に動いてしまう感じに近かったのではないでしょうか。万能というのは、こういう手触りのことを言うのだと思います。
頭の回転も早い子でした。話の先が読めて、相手が言い終わる前に答えが浮かんでしまう。
だから退屈もしやすかったかもしれません。ひとつのことをじっくり、というより、次から次へと興味が移っていく。
それでも触れたものはちゃんと身についていく。そういう子でした。
何でもできるというのは、見ていて気持ちのいいものです。本人にとっても、できる手応えはうれしいもの。
けれど、できてしまうからこそ、ひとつに腰を据える前に次の用事がやってくる。広く触れていく日々の中で、これが自分のもの、と言い切れる芯のようなものを、まだ探していたところもあったのではないでしょうか。