【魂のルーツ】
子供の頃のあなたは、自分のためだけに何かを集めるということが、どこか苦手ではなかったでしょうか。
おやつをもらうと、自分が食べる前に、まだもらっていない子の分を気にする。新しい遊びを覚えると、独り占めするより先に、まだ知らない誰かに教えたくなる。
あなたの手は、自分の懐に何かをしまうより、誰かに渡すほうへ自然と動いていたのではないかと思います。
それは優しさという言葉だけでは足りない、もっと根の深いものです。あなたの魂は、何もない荒地を前にしたとき、自分がそこで実りを得ようとするより先に、後から来る誰かがここで育っていけるようにと、種をまくほうへ向かいます。
今すぐ自分が刈り取る作物ではない。顔も知らない、まだ会っていない後続のための種。
それを当たり前のように選んできた人が、あなたです。
この性質は、おそらく言葉にして自覚されたことはなかったでしょう。けれど振り返ると、思い当たる場面はいくつもあるのではないでしょうか。
下の子の世話を頼まれて、嫌がるどころかどこか満たされていたこと。教える側、まとめる側にいつのまにか立っていたこと。
自分の番が後回しになっても、不思議とそれを損だと感じなかったこと。
ふだんのあなたは、おっとりして見えます。春の野に芽吹いたばかりの草のように、やわらかくて、急いていない。
声を荒げることも少なく、穏やかな人だと周りから思われてきたはずです。その穏やかさは、作っているものではありません。
生まれ持った地のままの手触りで、まわりの人をどこか安心させてきました。